"感じる"、ということについて、考えていきたいと思います。

私たちは、自分の意識を、感じとりたい対象に向けて届かせ、その部分に焦点を当てる、

そして、焦点を当てたところに意識を行き渡らせることにより、そこにある感覚やフィーリング、ニュアンスを感じ取っています。

そこで、もし、しっかりと感じ取れなくても、ある種のフィーリングやニュアンスを想像することが出来ます。

自分の身体に対しても、または外界の何かに対しても、

或いは物質的な物ではない~例えば心理的なものや、概念、想像上のものであっても、

私たちは普段、そのように意識を向け、情報を得ることを、同じように自然に行っています。

でも、自分自身の身体を感じることの方が、外の何かを感じることより、直接的に感覚として伝わってくるので、

自分にとっては、そのフィーリングやニュアンスも、具体的に感じとりやすいかも知れません。

自身の身体に意識を向けてみます。

その時、意識を向けたところ、自身の意識の焦点を当てた部分の感覚は、

より直接的に明確に、その組織の中にある何らかの感覚が感じとれるのではないでしょうか。

しかし、自分が今、意識を向けていない部分はどうでしょうか？

どの様な感じでしょうか

何も感じていないでしょうか？

表面的な意識では、そこに焦点が当たっていない為、自分の中で、明確に具体的な感覚を自覚できていませんが、

でも当たり前といったら当たり前なのでしょうが、自身の身体の中には神経が張り巡らされているので、

そこに焦点が当たっていないだけで、実際には、意識を向けていない部分も、

自分の意識の下の領域では、何かしら状態を把握している、といった感覚はないでしょうか？

それでは今度は、自分の意識の焦点を当てる対象を、自身の外の世界に向けていきます。

具体的に、目の前の何かに意識を向けることもいいのですが、ここではちよっと、あることを想像してみましょう。

例えば、満員電車で乗っていて、周りの人がストレスを抱えている、

或いは、イライラしている人が多くいる部屋に入っていくとします。

その部屋(或いは電車)にいて、あなたは例えばスマートフォンを見ています。

その時、スマートフォンに意識が向き、自分の意識は周りに向いていない状態ですが、何となく、どこかピリピリと張り詰めたような感覚を感じていたり、

自分でも何故だか分からないけど、イライラとした気持ちになっている、という事はないでしょうか？

もちろん、満員電車だと自分自身もストレスを受けているので、自らイライラが募る部分もあるのでしょうが…

周りの雰囲気や空気に影響を受ける、ということはないでしょうか？

文字通り、''肌で感じる''、といった具合に…。

自分の身体の中の感覚ではなくても、また直接、触れ合わない場合でも、

我々は、意識をせずとも、周りからの影響を常にどこかで感じ取っていて、それに自分自身が影響を受けていたり、

自分では気づかずに、自然に何らかの身体的、或いは心理的なリアクションをしていたりする。

自分が表面的な意識では気づかずとも、意識の下ではどこかでそれを把握している、といった感覚は誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。

それはつまり、感覚や意識というものは、自身の身体の中だけに存在しているのではなくて、

物質的な境界を超えて、(海の中に漂いながら、周りの全てが水で繋がっているように)周りに行き渡っていて、そこから情報をキャッチしていながら、

そして、自らも意識を向けることによって、それを行き渡らせていくことができ、

目に見えない世界(領域)の部分では、物理的な境界などもなく繋がり合いながら影響し合っている、

という見方で捉えることは出来ないでしょうか？

私たちは、今、こうして普段生活している物質同士が境界で区切られている(表層的な)世界に存在しながらも、

本質的な部分では、意識〜感覚、それらが作用し合う目には見えない(それを超えた)もっとあらゆるものを内包している領域に、海の中にいるように溶け込みながら、

肉体~物質としての、物理的な境界がある世界とは別の次元の領域で繋がり合い関わり合っていて、

そして、お互いに目に見えない領域で、

目には見えない形で、作用し合い影響し合っているのかも知れない。

そして、自分が求めるところに意識を向け、そこにより焦点を当てていくことによって、

その焦点を当てた部分が意識の光に照らされることで、その中の情報を見、そして感じ取ることができ、自分の中でより明確に認識していくことが出来るようになっていく。

そして、意識のピントを合わせていき、より解像度を上げようとアプローチしていくことによって、

更に繊細に、精妙に、その中にあるものを捉えることができ、その中にあるものに気づき、深く理解していくことができるかも知れない。

その気づきや理解に繋がった時に、その分だけ、自身の中に存在している潜在的な力にも意識を向けることができ、そこにアクセスしていくことが可能になるのではないだろうか。

自らが望み、意図する働きかけを行なっていく、

そして意識を向けた先と繋がり、その中に何かの関係性が生まれ、相互の作用が形となって現れてくる。

それは自身の中の世界に意識を向けた場合でも、自身の外側の世界〜外界に於いても、全く同様に捉えることができ、意識や感覚を媒体としているため、

物理的な境界、物理的な空間に縛られずに、

また、過去や未来といった、時間の束縛も受けることなく(そのような概念を超えて)、相互に影響し合うことが出来る。

そんな視点で見てみると、目で見える部分だけでなく、そして自ら意識的に感じる可能性に目を向けると、

人は誰もが本当は、個人としても、繋がった関係性でも、もっと可能性に満ち溢れた存在であり、自分が思っているよりもっと大きな存在であり、

希望を信じていいのだ、と、そう強く感じています。

(次号に続く)

2017.06